弁護士は人前で話すのが仕事です。
これまで多数の講演や学習会講師をさせていただきました。
その他にも小さなプレゼンや人前での挨拶などは日常茶飯事ですし、お客様との打ち合わせや交渉など「話す」場は常にあります。
ただし、私も昔は人前で話をするのが苦手でした。
今日は、人前で話をする技術についてお話したいと思います。
<目次>
1.人前で話をするのが苦手だった私が、得意になった瞬間
2.人前で話すときに失敗しない5つのポイント
3.まとめ ~結局、事前準備がかなり重要
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1.人前で話をするのが苦手だった私が、得意になった瞬間
私はこれまで、多数の講演や学習会講師を経験してきました。
https://profile.ameba.jp/ameba/bigsaga
その他にも、会議で小さなプレゼンをしたり、人前で挨拶をさせられることは日常茶飯事です。
弁護士でなくても、仕事上でプレゼンをしたり、人前で話をしなければならない場面は少なくないと思います。
ただ、人前で話をするといっても、慣れていないと、緊張してしまったりして、うまく話せないことはありますよね。
実は、私も昔は人前で話をするのがあまり得意ではありませんでした。
どうも、何をどのように話してよいかわからないし、人前で話をして失敗したらどうしようと、とても緊張してしまいます。
そんな私が、人前で話すことが大好きになるきっかけがありました。
それは、司法試験に合格し、弁護士になったばかりの頃でした。
母校である駒澤大学から、4月に新入生を相手に司法試験合格体験記の講演をして欲しいと頼まれたのです。
母校からの依頼ですので、断るわけにもいきませんが、さあ困ったとかなり悩みました。
そこで、失敗しないようにと、事前の準備を徹底して行い、本番にのぞみました。
本番は、大学の記念講堂のようなところで、新入生が数百人入る会場で、かなり緊張したことを覚えています。
ただ、そこで思い切って話をし出すと、思いのほか受けたようで、なんとか好評のうちに講演を終わることができました。
話の内容は、司法試験合格体験記ということで、当時の私には話しやすい話題でしたし、相手も大学に入学したばかりの新入生でしたので、私の話を興味深く聞いてくれました。
この小さな成功体験が私を変えるきっかけになりました。
この講演を機に、私は人前で話をすることが大好きになり、その後様々な講演や学習会の講師をつとめてきました。
2.人前で話すときに失敗しない5つのポイント
これまでの私の経験をもとに、人前で話をするときに失敗しない5つのポイントをお話します。
(1)事前にシナリオをきっちりと作る
月並みではありますが、やはり何と言っても重要なのは事前準備です。
事前準備を怠っては、良い講演は絶対にできません。
当日どんなテーマで何を話すのか、できるだけ具体的なシナリオをきちんと作成することです。
このシナリオですが、慣れてくれば箇条書きのようなものでも良いと思いますが、慣れないうちは、実際に本番で話すことをすべて文章に書いてみることをお勧めします。
(2)実際にシナリオを読んでみて練習する
そして、さらに重要なことは、こうして作成したシナリオについて、実際に声に出して読んでみることです。
文章で書いた段階では良いと思っても、実際に声に出して読んでみると、意外に話しづらかったり、分かりにくい表現になってしまっていることに気付くということがよくあります。
ですから、実際に声に出して読んでみて、またシナリオを適宜修正するという作業が必要です。
また、講演などは、通常時間が決まっていることがほとんどです。
たまに、予定時間を大幅にオーバーして話す人がいますが、あれは良くありません。
聞いている方も疲れますし、何より進行役をしている主催者に大変な迷惑をかけることになります。
この予定時間をオーバーしてしまうというのも、事前準備が甘いことが原因であることがほとんどです。
実際に自分で作ったシナリオを声に出して読んでみると、時間内に収まらないということもよくあります。
その場合には、適宜シナリオを削るなどして修正していきます。
このように、実際に声に出して読んでみなければわからないことも多いため、シナリオを書くだけではなく、声に出して読んでみることが重要なのです。
(3)できれば動画などで録画してチェックする
通常であれば、ここまでやっておけばまあ良い講演にはなるでしょう。
ただ、より上をめざすのであれば、ぜひご自分で話しているところを1度動画に録画してチェックしてみることもお勧めします。
そのとき重要なのは、顔の表情です。
つい緊張して怖い顔になっていませんか?
できるだけ笑顔を忘れずに話すことが重要です。
また、下に置いたシナリオばかりを見る姿勢になり、まったくお客さんの方を向いていないということもありがちな失敗です。
こうしたことは、動画に録画することでチェック→修正が可能になります。
さらにもう1つ。
自分の話している音声を聞いてみると、節々に「えー」とか、「あのー」といったことを言っています。
あれも、聞いてみるとかなり耳障りであることがわかります。
確かに、何となく間が空いてしまって、「えー」とか「あのー」とか言いたくなる気持ちはよくわかります。
ですが、それを言うくらいなら、間が空いたときは1~2秒あえて沈黙してみた方がよいです。
その方がご自分の気持ちも落ち着きますし、聞いている人も不快に感じませんし、次の話に興味を持ってくれやすくなります。
こうしたことのチェック→修正にも、動画の録画が効果的なのです。
(4)本番の会場には早めに着くようにする
そして、いよいよ本番です。
講演者が、講演の開始時刻に万が一でも遅刻するなどということは絶対に許されません。
時間ギリギリに行くこともNGです。
特に慣れていない人は、時間ギリギリに着いて、すぐに講演を開始するような状況では、とても落ち着いて講演をすることができません。
ぜひ会場には時間に余裕を持って出かけるようにして下さい。
そして、開始時刻が来るまでは、気持ちを落ち着けることを意識して下さい。
そのとき、ポイントとなるのは、それまでの準備の量です。
これだけ準備したのだから大丈夫、そう思えれば、自然と気持ちは落ち着いて、さあ早く始まらないかなという前向きな気持ちになれるでしょう。
(5)本番では早口になりすぎないように注意する
そして、最後のポイントとしては、意外と慣れていない人がやりがちなのは、本番で慌てて早口で話してしまうという点です。
つい緊張していると、知らず知らずのうちに話をする内容のことで頭がいっぱいになり、焦って早口でしゃべってしまいがちなのです。
ですが、聞いている方としては、あまり早口でしゃべられても内容を理解できずついて行けないということは少なくありません。
せっかく良い講演内容であっても、それがお客さんに伝わらなければ大変もったいないし、意味がありません。
そこで、本番ではぜひ深呼吸をして、落ち着いてしゃべって下さい。
そして、途中でも、自分が早口になっていないか、常に意識して、できるだけゆっくりとしゃべるように心がけて下さい。
3.まとめ ~結局、事前準備がかなり重要
このように見てみると、講演など人前で話すときにとても大切なことは、事前準備をどれだけしっかりとやるかということです。
講演の成否は事前準備にかかっていると言っても過言ではありません。
事前準備を充実させることは、たしかに時間や労力も使いますので大変です。
しかし、事前準備の甲斐あって講演が成功したときは、何物にも変えられない充実感と満足感でいっぱいになります。
人前で話すことが苦手だと感じている人は、ぜひ、この感覚を味わってほしいと思います。
そして、講演などの経験を積み重ねて行けば、きっと人前で話すことがかなり得意になるはずです。
そうすれば、それまでとは大きく違った世界も開けてくると思います。
ぜひチャレンジしてみて下さい。