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賃料不払いを理由とする不動産賃貸借契約解除のよくある間違い ~どの程度の不払いがあれば解除が認められるのかの基準

働くお母さまの為の離婚相談

コロナ騒動によって、不動産賃貸借の賃料不払いの事件が増加していると言われています。

 

賃料の不払いは、賃貸借契約における債務不履行(契約違反)になります。

 

ただ、1回でも賃料の不払いがあれば、賃貸借契約を解除できるというものではありません。

 

この不動産賃貸借における賃料不払いと契約解除、明渡請求については、裁判例である程度の基準が形成されています。

<目次>

1.賃料不払いを理由とする不動産賃貸借契約解除のよくある間違い

2.どの程度の不払いがあれば解除が認められるのかの基準

3.まとめ ~できるだけ話し合いによる解決を

 

 

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1.賃料不払いを理由とする不動産賃貸借契約解除のよくある間違い

賃料を支払うことは、不動産の借主の中心的な義務になります。

 

ですから、賃料を支払わないことは、賃貸借契約における債務不履行(契約違反)に該当します。

 

この点、民法541条では、「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」と定めています。

 

そうすると、借主が1回でも期日までに賃料の支払いをしなかった場合には、貸主は債務不履行に基づき、賃貸借契約を解除できることになりそうです。

 

ちなみに、貸主から有効な賃貸借契約の解除がなされると、借主はその不動産を借りている法的根拠がなくなりますので、借主はその不動産から退去して、その不動産を貸主に返さなければなりません(このことの裏返しとして、貸主から借主に対して、不動産の明渡請求がなされることになります)。

 

実際、多くの不動産賃貸借契約書を見ると、借主が1回ないし2回賃料の支払いを行った場合に、貸主は賃貸借契約を解除できるという内容の条項が定められていることがあります。

 

しかし、実際に裁判になると、たったの1回ないし2回賃料の支払いを怠っただけで、貸主による賃貸借契約の解除が認められることは希です。

 

と言いますのは、不動産賃貸借契約というものは、売買契約のような1回で終わる契約ではなく、貸主と借主の間の関係が長く続くことを前提とした継続的契約です。

 

そして、こうした継続的契約においては、貸主と借主の間の信頼関係が重要であり、こうした信頼関係が破壊されたと評価できない限り、貸主からの契約解除はそう簡単には認められないのです。

 

法律(裁判例)の建て付けがこのようになっているのは、不動産の貸主と借主では、通常貸主の方が強い立場にあるため、契約当事者間の公平をはかるため、このように借主に有利になるような修正がなされているのです。

 

2.どの程度の不払いがあれば解除が認められるのかの基準

それでは、一体借主にどの程度の賃料不払いがあれば、貸主は契約を解除して、借主に対して不動産の明渡しを求めることができるのでしょうか?

 

この点、実際の裁判例では様々なケースがあるのですが、大まかに言えば、特別な事情もないのに、借主が3ヶ月分以上の賃料を滞納した場合には、原則として信頼関係は破壊されたと評価される傾向があります。

 

ただし、裁判例によれば、信頼関係が破壊されたか否かは、賃料不払いの期間のみならず、賃料不払いに至る事情、従前の賃料支払い状況(過去にも滞納がなかったかどうか等)、解除の意思表示後の賃借人の対応等、諸般の事情を総合考慮して判断されているようです。

 

そして、昨今のコロナ騒動による経済情勢の悪化が直接の原因となって賃料の不払いが生じたようなケースでは、もしかしたら3ヶ月程度では未だ信頼関係は破壊されていないと判断される可能性もあるのではないかと思われます。

 

なお、上記のとおり、信頼関係を破壊する程度の賃料不払いがあっても、賃貸人は原則として、賃借人に対して履行(支払い)を催告し、それでも支払われない場合に契約の解除及び明渡し請求が認められることになります(民法541条)。

 

ただ、裁判例によれば、不払いの期間が長く、貸主と借主との間の信頼関係の破壊が著しいと評価できる場合は、上記の履行の催告をしないでいきなり契約の解除ができるとされています(無催告解除)。

 

この信頼関係の破壊が著しいと認められる基準ですが、3ヶ月程度ではまだ厳しいと考えられ、少なくとも4ヶ月から6ヶ月程度の不払いがなければ、信頼関係の破壊が著しいとは評価されないと思います。

 

ただ、これも単純に不払いの期間だけで機械的に決まるものではなく、その他の様々な事情が考慮されますので、同じくコロナ禍の事情などが不払いの原因となっている場合には、なかなか信頼関係の破壊が著しいとまでは認められにくいかも知れません。

 

3.まとめ ~できるだけ話し合いによる解決を

実際に、当事者間の信頼関係が破壊される程度の賃料の不払いがあった場合、借主が任意に不動産を明け渡してくれない場合には、裁判を起こして判決を取る必要があります。

 

貸主が勝手に借主の建物の鍵を交換してしまったりすること(自力救済と言います)は違法行為であり、NGです。

 

そして、裁判を起こして判決を取り、その判決に基づいて強制執行の手続を行う必要があるのですが、これは大変な労力や時間、費用がかかることになります。

 

そこで、できるだけ裁判手続にはよらないで、話し合いで解決できるのがベストです。

 

特に、コロナ禍においては、賃料不払いをしている借主に同情すべき部分もあるかも知れません。

 

この点、政府による家賃補助の制度もありますので、こうした制度を活用して支払ってもらうことができないかを検討する必要もあるでしょう。

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/yachin_shien.pdf

 

いずれにしても、賃料不払いがあった場合には、放置せずに早めに対応することが重要です。

 

お困りの場合は、ぜひ早めに弁護士に相談して下さい。

 

 

 

 

 

  
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