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養育費回収のための耳寄り情報② 〜法改正の3つのポイント

働くお母さまの為の離婚相談

民事執行法という法律が改正され、今年の4月1日より、養育費を効果的に回収するための情報開示の制度が設けられました。

<目次>

1.養育費の支払い状況と、これまでの回収手段

2.民事執行法改正(情報開示制度)の3つのポイント

3.まとめ 〜離婚の増加とともに、養育費の確実な支払いが求められます

 

 

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1.養育費の支払い状況と、これまでの回収手段

夫婦が離婚した場合、どちらか一方が子どもの親権者となって、離婚後に子どもと同居して養育することになります。

 

他方で、親権者ではない親については、離婚後に子どもの養育費を支払うことが求められます。

 

養育費は、シングルの家庭の子育てを支える重要なものになります。

 

しかし、厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、養育費を取り決めている家庭の割合は、母子家庭で42.9%、父子家庭で20.8%となっています。

 

すなわち、養育費の取り決めすらしていない世帯が母子家庭で半分以上、父子家庭では8割に上るということです。

 

さらに、同調査結果報告によれば、実際に養育費を受け取っている割合は、母子家庭で24.3%、父子家庭で3.2%となっています。

 

つまり、現実には、母子家庭の約4分の1、父子家庭では約3%しか、養育費を受け取っていないというのが実態なのです。

 

これは、養育費の取り決めをしても、約束通りに養育費が支払われないことに大きな原因があります。

 

この点、養育費について、公正証書による合意書、あるいは家庭裁判所の調停調書や判決書があれば、もし仮に養育費の不払いがあった場合には、支払い義務のある親(法的には「債務者」と言います)の財産に対して強制執行の手続きを行って、強制的に養育費を回収することができます。

 

最も効果的なのは、債務者の職場がわかっている場合には、債務者の給料に対して、原則としてその月額の2分の1の金額を上限として差し押さえの手続きを行うことができるという方法です(民事執行法151条の2、152条)。

 

しかし、これも、債務者の職場がわからない場合や、転職をしてしまって転職先がわからない場合には、使うことができなくなってしまいます。

 

また、給料差し押さえという手段以外にも、債務者に預貯金や不動産がある場合にも、差し押さえは可能ですが、その場合でも、どこの銀行のどの支店に口座があるとか、不動産の所在地などを特定する必要があります。

 

しかし、こうした情報がわからない場合には、やはり強制執行という手段で回収することができなくなってしまいます。

 

2.民事執行法改正(情報開示制度)の3つのポイント

そこで、今回民事執行法が改正され、裁判所から第三者に対する情報開示の制度が新設されました。

 

そのポイントは次の3つです。

 

(1)勤務先情報の開示制度

1つ目は、債務者の勤務先の情報がわからない場合に、裁判所に申し立てを行うことにより、裁判所を通じて、債務者の市区町村・年金事務所に対して照会を求めることができるようになりました(民事執行法206条)。

 

これにより、債務者の住民税を源泉徴収している企業のデータや、厚生年金の納付データなどから、債務者の勤務先を調査することが可能になったのです。

 

この制度を使って債務者の現在の勤務先を調べることができれば、上記で述べた公正証書や調停調書、判決書に基づいて、債務者の給料の差し押さえ手続きを行うことができるようになります。

 

(2)預貯金情報の開示制度

2つ目は、債務者がどこの金融機関のどこの支店に預貯金を保有しているかわからない場合に、裁判所に申し立てを行うことによって、裁判所を通じて、債務者名義の預貯金がある金融機関の支店名などを照会できるようになりました(民事執行法207条)。

 

具体的には、申し立てを受けた裁判所が、金融機関に対して情報提供命令を出すと、命令を受けた金融機関の本店から、債務者名義の預貯金口座の有無、口座のある支店名、預貯金の残高、預貯金の種類などを回答してもらうことができるようになりました。

 

これにより、上記の養育費の支払いを定めた公正証書や調停調書、判決書などに基づいて、情報を得た金融機関に対して、債務者名義の預貯金の差し押さえ手続きを行うことができるようになります。

 

この制度は、債務者が自営業者である場合など、上記の給料の差し押さえ手続きが使えない場合に効果的な制度です。

 

(3)不動産に関する情報開示制度

3つ目は、債務者がどこかに不動産(土地・建物等)を所有しているが、具体的にどこに何を所有しているかわからない場合に、裁判所に申し立てを行うことによって、裁判所を通じて、登記所に債務者所有の不動産の情報を照会できるという制度です(民事執行法205条)。

 

これにより、上記の養育費支払いを定めた公正証書や調停調書、判決書などに基づいて、債務者名義の不動産の差し押さえ手続きを行うことができるようになります。

 

ただし、この不動産に関する情報開示制度は、改正法の公布の日(令和元年5月17日)から2年を超えない範囲内の日に施行されるものとされており、現在はまだ施行されていません。

 

3.まとめ 〜離婚の増加とともに、養育費の確実な支払いが求められます

上記で見たように、我が国の現状では、そもそも養育費の取り決め率も高くなく、支払いの率も低いという問題があります。

 

昨今の社会では、様々な要因から離婚が増加しており、シングルで子育てをする世帯が増加しています。

 

にもかかわらず、この養育費の支払い状況は非常に問題です。

 

多くのシングル世帯にとっては、養育費の確実な支払いが、その世帯の子どもの経済状態や教育などに直結していきます。

 

シングル世帯が貧困に陥り、子どもの健全な養育が困難になるようなことがあってはなりません。

 

したがって、離婚に際しては、養育費の確実な取り決めと、将来の回収を確実なものにするために、必ず公正証書か家庭裁判所の調停調書、判決書の形を得ておく必要があると思います。

 

養育費についてお悩みの方、相手方からの支払いがなされずにお困りの方は、ぜひ弁護士にご相談下さい。

 

 

 

【編集後記】

連日雨が続き、梅雨明けの兆しが見えません。

 

自転車通勤族にとっては辛い時期です。

 

雨の日は電車も混みますしね。

 

今日は珍しく海外のお客様とオンラインで打ち合わせの予定です。

 

 

 

 

 

  
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