ワーキングマザー離婚相談室(ワーママ・働くお母様・働くお母さん)
                 渋谷駅徒歩5分  
03-3463-4351

円滑な事業承継を妨げる、所在不明の株主に対する対処法

働くお母さまの為の離婚相談

今、中小企業の事業承継が課題となっています。

 

円滑な事業承継を行うためには、会社の株式を整理する必要があります。

 

ところが、会社の株式の所有者である株主が、行方不明になっていて連絡が取れないという問題があります。

<目次>

1.事業承継には、株主の整理が必要

2.所在不明の株主が生まれる背景

3.所在不明の株主に対する対処法

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.事業承継には、株主の整理が必要

高齢化社会の進展で、70歳を超える中小企業経営者が約245万人となり、そのうちの約半数の127万人が後継者未定だそうです。

 

これは日本企業全体の約3割にあたり、この状況を放置すると廃業等によって今後10年間で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると指摘されています。

 

そこで、昨今は、国も中小企業の事業承継支援に力を入れています。

 

会社(株式会社や有限会社)、特に中小企業では、出資者である株主が、会社の支配権や経営権を持っているケースが大半です。

 

ですから、事業(会社)を後継者に円滑に引き継ぐためには、その会社の株式関係、株主関係を整理する必要が出てきます。

 

もし仮に、株主の数が少なく、会社の全株式がもともとある程度集中しているケースであれば、あまり苦労することはないでしょう。

 

ところが、中には株式が複数の株主に分散していて、それを集めることが容易でないというケースも少なくありません。

 

さらに、株主が所在不明で連絡が取れないというようなケースもあります。

 

事業承継にあたっては、このように分散している株式を集めて、後継者にそれを引き継がせ、後継者がきちんと会社に対する支配権を確立しておくことが必要です。

 

さらに、こうした所在不明株主の問題を放置すると、ある日突然、その所在不明株主が現れて、自分が真の株主だとして権利を主張される可能性もあり、これも事業を承継する後継者にとってはリスクになります。

 

しかし、株式を譲ってもらうためには、原則として株式譲渡という契約が必要ですが、所在不明の株主からは、こうした株式譲渡の手続をとってもらうことができないという問題があります。

 

2.所在不明の株主が生まれる背景

この点、平成2年商法改正前は、会社を設立する際に必要な発起人(会社設立後は株主となる出資者)が7人以上必要とされていました。

 

そこで、この時期以前に設立された株式会社については、設立時には株主が7人以上いたということになります。

 

この株主全員が、常に会社の経営に関心を持って、会社に関わっていればあまり問題は起きないのですが、中小企業の場合は、単に名義だけ貸しているような株主も少なくなく、そのような株主はその後会社と疎遠になってしまっているケースも多いようです。

 

本来は、中小企業であっても、株式会社であれば、少なくとも1年に1回は定時株主総会が開催されているはずです。

 

しかし、実際には、中小企業の株主総会はほとんどきちんとなされていないケースが少なくなく、必要最低限において書面の上のみで開催したことにして処理をするようなこともよくあります。

 

株主に対して株主総会の招集通知を送ったり、利益配当を実施したりしたことがないという中小企業も少なからず存在します。

 

そのような間に、その株主の住所変更等があって連絡がつかなくなってしまったり、その株主が知らない間に亡くなっていて、株式の相続が発生し、相続人とも連絡が取れないなどというケースもあります。

 

3.所在不明の株主に対する対処法

この点、会社法の196条では、こうしたケースに対する対策を定めています。

 

すなわち、会社が株主に対して、株主総会の招集通知などを送っても5年以上届いていないような場合で、かつ、その株主が継続して5年間利益配当を受け取らなかった場合には、会社は、その株主が持っている株式を競売して、お金に換えることができると定めています(会社法197条1項)。

 

ただ、中小企業の場合は、株式を公開している大企業とは異なり、株式に流動性がなく、市場価格の形成が困難であるという問題があります。

 

そこで、株式会社は、競売ではなく、市場価格のない株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法の売却により、これを売却することができるとされています(同法2項)。

 

この市場価格のない株式の売却に関する裁判所の許可の申立ては、取締役が2人以上いるときは、その全員の同意によってしなければならないとされています。

 

さらに、株式会社は、売却する株式の全部又は一部を自己株式として買い取ることもできるとされています(同法3項)。

 

このように、会社法上、所在不明株主の問題に対する手当はなされています。

 

しかし、裁判所に対する申立が必要になったりして、大変に手続が面倒です。

 

できれば、中小企業経営において、このような所在が不明の株主を出さないようにすることが重要です。

 

そのためには、1年に1回の定時の株主総会をきちんと行うことが効果的です。

 

顔の見えやすい中小企業であれば、こうした株主総会の開催時期に株主を把握しやすいですし、毎年の定時株主総会に先立って、株主に対して総会の招集通知を送ることになりますので、連絡が取れなくなっている株主を早期に把握することも可能になります。

 

このような、株主総会の手続をきちんと実施することで、株主が行方不明になるリスクは相当程度防止できると思います。

 

 

 

【編集後記】

今日は1日事務所にこもって仕事です。

 

しかも、zoomによるミーティングが4件も入っています。

 

その内容は、弁護団会議→お客様との打ち合わせ→弁護団会議→セミナーとバラエティーにそこそこ富んではいます。

 

オンラインのミーティングは確かに便利ですが、続くとちょっと疲れますね。

 

そもそも、もともと1日中1カ所にこもって仕事をするというのが得意ではありません。

 

コロナ禍の前の、あちこち飛び回っていた頃の仕事スタイルが懐かしいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

  
PREVIOUS / NEXT