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名前だけ取締役、監査役になることの落とし穴 〜安易な名義貸しはやめましょう

働くお母さまの為の離婚相談

たとえば、親しい友人などから頼まれて、「迷惑はかけないので名前だけ貸して欲しい」などと言われて、友人が経営する会社の取締役や監査役に就任することがあります。

 

しかし、このような名目的な取締役や監査役であったとしても、法律的な責任を負わされる場合がありますので、注意が必要です。

<目次>

1.名目的な取締役や監査役が生まれる背景

2.名目的な取締役や監査役の法的な責任

3.まとめ 〜安易に名義を貸すことはとても危険です

 

 

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1.名目的な取締役や監査役が生まれる背景

現在、会社法の下では、株式会社の取締役は1人以上であれば良いことになっています(会社法326条1項)。

 

しかし、平成18年に会社法が施行される前の旧商法の時代には、株式会社には取締役が3人以上いなければなりませんでした(旧商法255条)。

 

そのため、小規模な株式会社では、取締役を3人以上集めることができず、友人や知人などから名前だけを借りる形で取締役の登記を行うということがよくありました。

 

さらに、現行の会社法の下でも、取締役会設置会社では、3人以上の取締役が要求されていますので、同じ問題は生じます(会社法331条5項)。

 

また、監査役についても、現在の会社法の下では、任意の機関となっていますので、必ずしも監査役を設置する必要はありません(会社法326条2項)。

 

しかし、平成18年の会社法施行前の旧商法の時代には、監査役は必ず設置しなければならないとされていました。

 

さらに、現行の会社法の下でも、取締役会設置会社と会計監査人設置会社では、監査役を設置しなければならないことになっています(会社法327条2項3項)。

 

そこで、やはり小規模な株式会社では、監査役のなり手がいないために、同様に友人や知人から名義だけを借りて登記するという問題が生じることになります。

 

このように名義だけを貸した取締役や監査役は、名目的な取締役や監査役と呼ばれ、実際の株式会社の業務には一切関わらないのが通常です。

 

ただ、取締役も監査役も、株式会社の役員であり、対外的にはその氏名が登記されることになります。

 

そこで、このような名目的な取締役や監査役が、会社の外部の第三者に対して法的な責任を負わされることがあるのかが問題となります。

 

2.名目的な取締役や監査役の法的な責任

この点、会社法429条では、「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。

 

たとえば、会社の代表取締役が会社の経営を独断専行し、会社を私物化したために会社の経営状態が悪化し、会社が倒産したという場合に、代表取締役が会社の債権者に対して責任を負うようなケースがこれにあたります。

 

この場合、会社を私物化した代表取締役が責任を負うことは良いとして、会社の経営にまったく関与しなかった名目的な取締役や監査役が、第三者である会社債権者などに対して責任を負うことがあるのでしょうか?

 

余談になりますが、私は昔、大学院にいた頃、会社法を専攻しており、この名目的な取締役の法的な責任を研究し、修士論文を作成したことがあります。

 

この問題については、リーディングケースとなっている最高裁の判例があります(最判昭和48年5月22日・民集27巻5号655頁)。

 

この最高裁判例では、名目的な取締役であっても、こうした第三者に対する法的な責任は免れないと判示しています。

 

具体的には、株式会社の取締役は、取締役会の構成員として、代表取締役の業務執行一般についてこれを監視し、必要があれば取締役会を自ら召集し、あるいは召集することを求め、取締役会を通じて業務執行が適正に行われるようにする職務を有するとされています。

 

これは一般に、取締役の監視義務と言われているものです。

 

そこで、名目的な取締役は、こうした他の取締役の業務執行を監視するという職務を怠ったという過失があるため、第三者に対して法的な責任(具体的には損害賠償責任)を免れないことになるのです。

 

なお、会社の会計をチェックする業務である監査役についても同様で、名目的な監査役であったとしても任務を怠ったという事情があれば過失が認定され、第三者に対して責任を負うことになります。

 

3.まとめ 〜安易に名義を貸すことはとても危険です

このように、親しい友人や知人から、「迷惑はかけないから」と言われ、名目的であったとしても、いったん取締役や監査役に就任して登記がなされた以上は、第三者に対して厳しい法的な責任を負わされるリスクがあります。

 

ですから、決して安易に名義を貸して取締役や監査役に就任するということはしないようにした方が良いでしょう。

 

また、もしご自身が、まったく経営に関与していない会社の取締役や監査役に就任している場合には、すぐにその会社の実質的な経営者に連絡を取り、取締役や監査役から外してもらう手続きを急いだ方が良いと思います。

 

 

 

【編集後記】

やっと梅雨が明けて暑くなってきましたね。

 

相変わらず電動アシスト通勤を続けていますが、梅雨が明けても今のところ快適です。

 

汗もあまりかきません。

 

私は汗っかきなので、とても助かります。

 

  
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