ワーキングマザー離婚相談室(ワーママ・働くお母様・働くお母さん)
                 渋谷駅徒歩5分  
03-3463-4351

親亡き後の実家の相続をどうする?① ~誰かが住みたい場合

働くお母さまの為の離婚相談

少子高齢化に伴って、日本全国で見ると家が余っている状態です。

 

私は今40代ですが、私くらいの年代になりますと、将来実家をどうするかといった問題が現実化しつつあります。

 

実家、つまり親名義の家は、通常はその子どもの代に相続されることになります。

 

この実家の相続に関して、今いろいろな問題が起こっています。

<目次>

1.相続人の間で遺産分割協議を行う必要がある場合

2.実家の遺産分割協議の3つの方向性

3.親と同居していた共同相続人の1人が、親亡き後に実家に住み続ける権利

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

1.相続人の間で遺産分割協議を行う必要がある場合

分かりやすい事例で考えてみますと、Aさんは、東京都渋谷区に自宅の土地と建物を所有しており、子どもはBさん、Cさん、Dさんの3人がいます(3人とも成人という前提)。

 

Aさんの配偶者はすでに亡くなっており、Aさんは、自宅で子どものうちの1人であるCさんと同居していたと仮定します。

 

この場合、Aさんが自分の死後のことについて、たとえば自宅の土地建物は、自分と同居して自分の老後の面倒を見てくれたCさんに相続させることを内容とする遺言書を作成していたとします。

 

その場合、Aさんが亡くなるとこの実家は遺言にしたがってCさんが相続することになります(ただし、他の相続人であるBさんとDさんの遺留分の問題は残りますが、今回はそれは置いておきます)。

 

しかし、もし仮にAさんがこうした遺言書を書かずに亡くなってしまった場合には、実家の土地建物は、いったん相続人であるBさん、Cさん、Dさんの共有となります。

 

そして、その後に、この実家を誰が相続するのか、きょうだい3人で話し合って最終的な実家の処理を決めることになります。

 

これを、遺産分割協議と言います。

 

東京都渋谷区にある土地建物ですから、かなり高額の価値があることが想定されます。

 

この実家を誰が引き継ぐのか、遺産分割協議の話し合いがスムーズに行けば良いのですが、3人ともこの実家を取得することを希望した場合、争いになってしまって、遺産分割協議がうまく行かないことになります。

 

そのような場合には、家庭裁判所の遺産分割調停という、裁判所を使った公的な話し合いの制度を利用して解決することになります。

 

2.実家の遺産分割協議の3つの方向性

さて、きょうだい3人で実家についての遺産分割協議を行う場合、次の3つの方向性があります。

 

(1)誰かが取得して、他の相続人は他の遺産か代償金を受け取る

たとえば、話し合いの末、生前のAさんと実家で同居していたCさんが実家を相続し、他の相続人であるBさんとDさんは、Aさんの他の遺産(たとえば、他の不動産や預貯金、有価証券など)を相続するというパターンがあります。

 

ただし、Aさんに、実家の土地建物以外にさしたる財産がなかった場合には、このスキームはうまく行きません(3人で相続する財産の金額のバランスが悪くなり、不公平になってしまうので、実家を相続できないBさんとDさんが納得しない可能性が高いでしょう)。

 

このような場合には、Cさんが渋谷区の実家を相続する代わりに、BさんとDさんの相続分に相当する部分(実家の価値の2/3)について、お金を払って解決するというやり方があります。

 

これは要するに、Cさんが、実家についてのBさんとDさんの共有持分(相続分)を買い取るものであり、代償分割と呼ばれる方法です。

 

(2)不動産を売ってお金で分ける

しかし、この代償分割というスキームも、CさんがBさんとDさんの相続分を買い取るだけの資金がなければうまく行きません。

 

特に、渋谷区の不動産ですから、BさんとDさんの相続分もかなり高額になることが予想されますので、Cさんがそのような多額のお金を用意できない可能性は高いでしょう。

 

そこで、次に、Cさんには実家を相続することを諦めてもらい、実家を売却して、その売却代金を3人で相続分(1/3ずつ)に従って分けるという方法があります。

 

価値が高額で、他にめぼしい遺産がなく、代償金も用意できないという場合には、これが一番現実的な遺産分割の方法であろうと考えられます。

 

(3)共有状態のまま放置する

最後に、特に遺産分割の手続きをすることなく、共有状態のまま放置するということも、1つの方法ではあります。

 

上記の例で言えば、3人の関係が相当悪化していて、話し合いがまったくでいないような場合や、何らかの事情で不動産を売却することができない場合には、一時的に共有状態のままペンディングにしておくことはあり得ると思います。

 

しかし、共有状態で放置しておきますと、結局相続の問題が根本的に解決せず、Bさん、Cさん、Dさんのさらに子どもや孫の世代まで、将来にわたって紛争の解決が先送りになってしまい、また時間が経てば相続が発生して権利者が多数になることから、ますます解決が困難になってしまいます。

 

ですから、基本的にはこの共有状態で放置するという方法はおすすめできません。

 

どうしても話し合いが難しければ、家庭裁判所の遺産分割調停を利用して、何らかの解決をはかる必要があると思います。

 

3.親と同居していた共同相続人の1人が、親亡き後に実家に住み続ける権利

さて、上記の例で、親であるAさんと同居して実家に住んでいたCさんは、Aさんの死亡後、遺産分割協議が終わらない段階において、他の相続人であるBさん、Dさんから、実家を出て行くように求められた場合、出て行かなければならないのでしょうか?

 

この点、上記のとおり、Aさんが遺言を遺さずに死亡した場合、遺産である実家の不動産は、相続人である3人の共有となります。

 

ですから、実家に住み続けているCさんだけではなく、BさんとDさんも実家について共有持分という権利を持っていることになります。

 

この問題については、最高裁の判例では、Cさんも自己の共有持分によって、共有物である実家の不動産を使用収益する権利があり、それに基づいて住んでいるので、他の相続人であるBさんとDさんは、Cさんには当然には実家から出て行けと要求することはできないとしています(最判昭和41年5月19日)。

 

しかし、上記のように、Cさんだけではなく、BさんもDさんも、実家についての共有持分を持っているのですから、いつまでもCさんだけが実家を無償で使い続けることができるというのはおかしいようにも思います。

 

この点、最高裁の判例では、Cさんが実家を使用収益する権利について、次のように述べています。

 

すなわち、建物(実家)が同居の相続人(Cさん)の居住の場であり、同人の居住が被相続人(Aさん)の許諾に基づくものであったという事情から考えると、被相続人(Aさん)と同居の相続人(Cさん)との間において、被相続人(Aさん)が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により建物(実家)の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き同居の相続人(Cさん)にこれを無償で使用させる旨の合意があったと推認されるとしています。

 

したがって、被相続人(Aさん)が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人(Cさん)の地位を承継した他の相続人ら(BさんとDさん)が貸主となり、同居の相続人(Cさん)を借主とする建物の使用貸借関係が存続するとしています。

 

ここで、使用貸借とは、法律上無償で物を貸す契約のことを言います(有償で貸すのは賃貸借です)。

 

したがって、この最高裁判例によれば、上記の例でCさんは、Aさんが亡くなった後、少なくとも実家の遺産分割協議が成立するまでは、実家に無償で住むことができ、それは亡くなったAさんの意思にも合致するということになります。

 

さて、今回は、高い資産価値を持っている実家の相続の問題を取り上げました。

 

次回は、同じく実家の相続の問題でも、誰も相続したがらない資産価値が低い不動産であった場合の問題を取り上げてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  
PREVIOUS / NEXT