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親亡き後の実家の相続をどうする?  ②誰も住みたくない場合

働くお母さまの為の離婚相談

少子高齢化社会の中で,実家の相続をどうするかが問題となっています。

 

前回は,高い資産価値を持っている実家の相続の問題を取り上げました。

 

今回は,同じく実家の相続でも、誰も相続したがらない資産価値が低い不動産であった場合の問題を取り上げてみたいと思います。

<目次>

1.誰も相続したがらない実家とは?

2.相続を放棄するだけではダメ⁉︎

3.空き家対策の法律

 

 

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1.誰も相続したがらない実家とは?

少子高齢化にプラスして,地方都市の過疎化が進行しています。

 

そうすると,地方などでは,宅地であっても資産価値がほとんどなく,売りたくても売れない不動産が増加しています。

 

たとえば,地方で一人暮らしをしている親が亡くなり,その子どもたちでその実家の相続をどうするかを話し合っているとします。

 

実家が資産価値のある不動産であれば,前回見たように,その不動産を売ってお金で分けるなどの方法をとることができます。

 

しかし,実家に資産価値がない場合,売って分けようと思っても,その実家の不動産が売れないということはよくあります。

 

そうなると,子どもたちの中で,誰かがその実家を引き継ぐような場合は良いのですが,子どもたちが皆地元を離れており,地元に戻るつもりもないというような場合は,実家の処理に困ってしまうことになります。

 

このようなことが今全国的に起きており,いわゆる空き家問題ということで社会問題になっています。

 

この点,平成27年に発表された「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)によれば、空き家の数は全国で約820万戸(全国の住戸の約13.5%)にもなるといいます。

 

これは、空き家の所有者が亡くなって、その相続人による適切な管理が行われずに放置されていることが、その大きな要因の1つとなっているようです。

 

空き家が増えると、火事になったり、その地域の景観や治安が悪化したり、衛生上も問題が生じたりと、その地域の住民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。

 

2.相続を放棄するだけではダメ⁉︎

ところで,相続人の立場からしてみると,資産価値のない地方の実家を相続してみても,自分が住むわけでもないし,かといって売ることも,貸して賃料を得ることもできず,逆に管理の費用や固定資産税など余分なコストがかかってしまいます。

 

そこで,親の財産を相続したくない場合の相続放棄という方法が考えられます。

 

上記の例で,法定相続人である子どもたち全員が,実家の相続を放棄した場合を考えてみましょう。

 

相続放棄をした場合には、この子どもたちは初めから相続人でなかったことになります(民法939条)。

 

したがって、この建物はこの子どもの所有ではなくなります。

 

しかしながら、それではこの子どもたちが空き家となっている建物についての責任を免れることができるのかと言えば、そうではありません。

 

というのは、民法第940条によって、相続放棄をした者は、その放棄によって新たに相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、「自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と定められているからです。

 

この点、他に相続人がいないような場合には、家庭裁判所に対して空き家についての相続財産管理人を選任してもらうように求めることができます。

 

相続財産管理人が選任された場合には、この管理人が相続財産である空き家についての管理責任を負うことになりますので、相続放棄をした子どもはようやく責任を免れることができることになります。

 

ただし、家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立を行う際には、この相続財産管理人の報酬等一定の費用を家庭裁判所に予納しなければなりません。

 

ですから、実際には、このようなケースでは、相続財産管理人の選任申立がなされることなく、残された空き家が放置されてしまっているということが多くなっているのです。

 

3.空き家対策の法律

そこで、空き家問題を単なる民事上の制度のみで解決することは困難であるということで、平成26年に、「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律が新たに制定されました。

 

この法律では、①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、②著しく衛生上有害となるおそれのある状態、③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等を「特定空家等」と指定しました(同法2条2項)。

 

その上で、市町村長は、この特定空き家等の所有者や管理者に対して、この特定空き家等の除去、修繕、立木竹の伐採その他周辺環境の保全を図るために必要な措置をとるように助言又は指導することができるとしています(同法14条1項)。

 

また、この指導又は助言をしても改善されない場合には、さらに市町村長は、所有者や管理者に対して、上記の周辺環境の保全を図るために必要な措置をとるように勧告したり、命令したりすることもできるとされています(同法14条2項、3項)。

 

所有者や管理者がこの市町村長の命令に従わなかった場合には、50万円以下の過料に処せられるという罰則規定も設けられました(同法16条1項)。

 

さらに、それだけではなく、市町村長は、上記の必要な措置の命令をしたにもかかわらず、所有者や管理者がその命令に従わなかった場合には、いわゆる行政代執行という方法で、強制的に空き家を取り壊す等の必要な措置をとることもできるとされています(同法14条9項)。

 

この法律によって、いわば自治体の主導によって放置されている空き家の問題の改善が図られることが期待されています。

 

 

 

 

 

  
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