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手書きの遺言書を作りやすくなりました ~手書きの遺言に関する相続法の改正

働くお母さまの為の離婚相談

高齢化社会の進展など、社会経済情勢の変化に対応し、民法の相続法の分野が約40年ぶりに大きく改正されました。

 

その中で、手書きの遺言である自筆証書遺言の方式を緩和する改正が、昨年1月から施行されています。

 

従来に比べて、手書きの遺言書が作成しやすくなっています。

<目次>

1.実は難しい「手書き」の遺言

2.今回の改正(手書きの遺言の方式の緩和)の内容

3.まとめ ~利用はしやすくなったものの、無効になるリスクがなくなったわけではない

 

 

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1.実は難しい「手書き」の遺言

法律上、遺言にはいくつかの種類があるのですが、自分の手書きで作成する遺言を自筆証書遺言と言います。

 

この自筆証書遺言は、気軽に手書きで作成することができる上、費用もかからないという点がメリットとされてきました。

 

しかし、自筆証書遺言は、法律で、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないのが原則とされています(民法968条1項)。

 

これらの要件は、どれか1つが欠けているだけでも遺言全体が無効とされてしまいます。

 

たとえば、自書しなければならないため、パソコンで本文に印字された遺言は無効です。

 

日付も何月だけでなく何日まで特定して書く必要があります。

 

ところで、遺言書には、しばしば「△△をBに相続させる。」といったような記載がなされます。

 

遺言を書く人が、自分が所有している不動産や預貯金などの多数の財産について遺言書を作成しようとする場合には、例えば本文に「別紙財産目録1記載の不動産をAに相続させる。」とか「別紙財産目録2記載の預貯金をBに相続させる。」と記載し、別紙として財産目録1及び2を添付するのが簡便です。

 

このように、遺言の対象となる財産が多数に及ぶ場合などには、財産目録を作成した方が、書く方にとっても書きやすく、また読み手にとっても読みやすい遺言になります。

 

ところが、上記のように、手書きの自筆証書遺言の場合には、かつては本文だけではなく、こうした目録も含めてすべて遺言をする人が「自書」しなければならないとされていました。

 

したがって、遺言の内容によっては、目録を作成するために膨大な手間・作業(つまり、手書き作業)が必要となってしまうということがありました。

 

2.今回の改正(手書きの遺言の方式の緩和)の内容

そのような背景もあり、今回の民法改正では、自筆証書遺言を作成する場合でも、例外的に、本文に相続財産の目録を添付するときは、その目録については「自書」はしなくてもよいことになりました。

 

具体的には、次のような民法968条の2項が新設されました。

 

「前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(・・・・・)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」

 

そして、財産目録の形式については特に定めはなく、書式は自由で、遺言を書く本人がパソコン等で作成してもよいですし、本人以外の人が作成することもできます。

 

また、例えば、土地について登記事項証明書を財産目録として添付することや、預貯金について通帳の写しを添付することもできます。

 

ただし、自書によらない財産目録を添付する場合には、遺言を書く本人自身が、その財産目録の各ページに署名・押印しなければならないとされていますので、注意が必要です。

 

ここは添付する財産目録の量によっては多少の手間にはなりますが、目録そのものをすべて手書きしなければならないとされていた改正前と比較すれば、かなり簡略化されたと言えるでしょう。

 

さらに、自書によらない目録等の記載が用紙の片面のみにある場合には、その面又は裏面の1カ所に署名押印すればよいのですが、自書によらない記載が両面にある場合には、両面にそれぞれ署名押印をしなければなりませんので、この点も注意が必要でしょう。

 

これは、財産目録が偽造されることを防止するための規定です。

 

押印について特別な規定はありませんので、本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いません。

 

また、遺言書本文に財産目録を添付する方法についても、特別な定めはありません。

 

したがって、 本文と財産目録とをステープラー等でとじたり、契印したりすることは必要ではありません。

 

ただ、遺言書の一体性を明らかにする観点からは、望ましいものであると考えられます。

 

なお、今回の改正は、自筆証書遺言に財産目録を「添付」する場合に関するものですので、自書によらない財産目録は本文が記載された自筆証書遺言とは別の用紙で作成される必要があります。

 

本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできません。

 

3.まとめ ~利用はしやすくなったものの、無効になるリスクがなくなったわけではない

このように、今回の民法改正によって、特に複数の財産を持っている方にとって、かなり自筆証書遺言を作成しやすくなったと思われます。

 

しかし、やはり本文についてはきちんとその全文、日付及び氏名を自書し、印を押さなければならないという原則は残っており、もしこの要件がどれか1つでも欠けてしまえば、後で遺言が無効であると判断されてしまうことにもなります。

 

また、財産目録を添付するにしても、上記で見たように、遺言を書く本人自身が、その財産目録の各ページに署名・押印しなければならないなど面倒な要件もあります。

 

ですから、せっかく作成した自筆証書遺言が、後で無効とされたり、その遺言をめぐって新たな紛争が生じたりすることがないように、弁護士に相談した上で作成されることをお勧めします。

 

【編集後記】

毎年そうですが、お盆明けの週はいろいろとバタバタしています。

 

ただ、今日明日を乗り切ればある程度なんとかなりそうなので、ここが踏ん張り時です。

 

 

 

 

 

 

  
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