会社の経営状態を見るときには,まずその会社の売上がどのくらいあるかということを意識します。
しかし,実は会社の経営数字を見る場合には,重要なのは売上よりも粗利という概念です。
<目次>
1.粗利とは何か?
2.変動費や粗利率は業種によってまちまち
3.利益や人件費は粗利から生まれる
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1.粗利とは何か?
会社の経営数字を見る場合,その会社の売上がどのくらいあるのかということは,まず1番はじめに目が行きます。
そして,何となく,売上が大きければ,それなりに儲かっている会社とか,財務状態が良い会社だという先入観を持ってしまうことがあります。
しかし、多くの業種では、売上に比例してかかる費用というものがあります。
たとえば、スーパーなどの小売店で、缶ジュースを1本80円で仕入れて、20円の利益を乗せて100円で売る場合を考えてみましょう。
この場合、売上は100円ですが、そのうち、仕入代金として80円かかっています。
この、スーパーの仕入代金のように、売上に比例してかかる費用を変動費と言います。
そして、売上から変動費を引いたものを、粗利と言います。
上記の例では、売上が100円、変動費(仕入代金)が80円ですから、粗利は20円となります。
上記は、お金のブロックパズルといって、もともと西順一郎氏の『戦略会計StruckⅡ』(ソーテック社)の中のStruck表をもとに、ビジョナリーパートナーの和仁達也氏がお金の流れの全体を分かりやすく図にしたものです。
会社の経営数字を見る場合、実は売上よりも、売上から変動費を引いた残りである粗利がどのくらいあるかが重要になります。
なぜなら、粗利こそが会社の実質的な収入であり、会社の利益も、従業員の人件費も、すべて粗利から発生しているからです。
2.変動費や粗利率は業種によってまちまち
ちなみに、変動費というものは、業種によってまちまちです。
スーパーのような小売店であれば、上記のように仕入代金が変動費になります。
工場であれば材料費、運送会社やタクシー会社であればガソリン代が変動費にあたります。
歯科医院であれば、歯科技工士に依頼した外注加工費などが変動費になります。
そして、売上に対する粗利の割合のことを粗利率といいます。
上記のスーパーの例で言えば、売上100円に対して、粗利が20円ですので、粗利率は20%となります。
粗利率も業種によって異なります。
サービスを提供する業種、たとえば医師やコンサルタントなどは70~90%と高め、飲食店も60~70%くらいと言われています。
また、商品を仕入れてそれを販売する小売業で20~50%程度、建設業で20~30%、卸売業では20%以下となっています。
3.利益や人件費は粗利から生まれる
業種によって、粗利率の高い業種と低い業種があります。
一般的には、粗利率が高い方が利益が出やすいと言われています。
ですから、売上規模がいかに大きくても、粗利率が低い場合には、実は利益は出にくいのです。
その逆もまたしかりです。
ですから、会社の経営数字を見る場合は、売上高のみを見ていても実態が見えないことがあります。
そして、会社の利益を上げるためには、売上を上げることももちろん重要ですが、この粗利率を高める努力というものも欠かせません。
なぜなら、上記で見たように、粗利こそが会社の実質的な収入であり、会社の利益も人件費も粗利から発生するからです。
それを、お金のブロックパズルで示すと下記のようになります。
ですから、会社にきちんとした利益を残し、さらに従業員の人件費もアップしようと思えば、この粗利をいかにして大きくするかという努力が必要となるのです。
【編集後記】
5月に、ブログの平日毎日更新を始めて、5か月が経過しました。
あと1か月続ければ半年になります。
今までどおり楽しみながら続けていきたいと思います。