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建物賃貸借のよくある誤解 ~大家が無断で貸室に入ることは許されるか!?

働くお母さまの為の離婚相談

よく、アパートなどの賃借人が、家賃を何ヶ月も滞納し、しかも連絡が取れないという場合があります。

 

そのような場合、大家さんが合鍵を使って賃借人の部屋に入ったり、許可なく鍵を交換してしまうなどということが許されるでしょうか?

<目次>

1.困った賃借人

2.自力救済は禁止

3.このようなケースではどうしたら良いか?

 

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1.困った賃借人

私も扱った事件として経験したことがありますが、アパートなどの賃借人が、家賃を何ヶ月も滞納し、しかもその賃借人と連絡がとれないという困ったケースがあります。

 

大家さんとしては、何ヶ月も家賃収入が途絶えるのは迷惑でしょうし、何とかこの賃借人と連絡をとって、滞納した家賃を払ってもらうなり、あるいは契約を解除してアパートから出て行ってもらいたいと考えるはずです。

 

こうしたケースでよくある相談は、アパートの賃貸借契約書に、「賃借人が賃料の支払いを3ヶ月以上怠ったときは、賃借人は、直ちに賃貸物件内にある動産を賃借人の費用負担において賃貸人が自由に処分しても、賃借人は異議の申立をしない」という条項が入っているような場合です。

 

この場合、この条項を根拠に、大家さんが合鍵を使って賃借人の部屋に許可なく入り、賃借人の部屋にある家財道具などを勝手に廃棄するなどして良いのかという問題があります。

 

さらに、この賃借人が部屋に入れないようにするために、この部屋の鍵を大家さんが勝手に交換してしまって良いのでしょうか?

 

2.自力救済は禁止

結論から言いますと、大家さんの気持ちはよくわかりますが、このような行為は法律的には自力救済(じりききゅうさい)と言われ、禁止されています。

 

まず、いくら大家であっても、他人の居室に許可なく入る行為は、刑法130条の住居侵入罪に該当しうる行為であり、犯罪となる可能性があります。

 

さらに、賃借人の家財道具を勝手に処分する行為は、刑法261条の器物損壊罪にも該当しうる行為です。

 

また、民事上も、他人の居室に許可なく入ったり、家財道具を処分したり、鍵を交換してしまう行為は、賃借人に対する不法行為となり、損害賠償を請求される可能性があります(民法709条)。

 

したがって、法律上は原則として自力救済は禁止されています。

 

ただ、裁判例ではごく例外的に、「法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で」例外的に自力救済が許されるとしているものもあります。

 

しかし、これは極めて限られた例外的な場面ですので、やはり基本的には自力救済は許されないと考えておいた方が良いと思います。

 

では、上記1のように、賃貸借契約上、賃借人は、賃貸人が家財道具を処分したりしても異議を述べたいという特約があった場合はどうなるのでしょうか?

 

この点、裁判例では、そうした特約について、「特約は、そのような特別の事情のない場合に適用される限りにおいて、公序良俗に反し無効」であるとしています。

 

ですから、仮に上記のような特約があったとしても、緊急性や必要性といった特別の事情がない場合、自力救済はやはり違法になります。

 

ですから、特約があっても、原則として自力救済はできないと考えておくべきだと思います。

 

3.このようなケースではどうしたら良いか?

それでは、自力救済ができないとして、大家さんとしては、このような問題の賃借人に対してどのように対処すれば良いのでしょうか?

 

この場合、とても遠回りになってしまいますが、やはり裁判を起こして判決を取り、強制執行を行うという王道を行かざるを得ません。

 

すなわち、賃料を長期間滞納している場合は、賃貸借契約を解除した上で、建物明渡と未払賃料の支払を請求する裁判を起こします。

 

そして、裁判所の判決を得た上で、建物明渡の強制執行手続を行う必要があります。

 

その上で、部屋に残された残置物(家財道具)について競売の手続を行います。

 

実際には、残置物を処分する業者に費用を支払って競落してもらい、処分してもらうという手続になります。

 

裁判→判決→明渡しの強制執行手続は、短くても3ヶ月程度、長ければ半年ほど時間がかかってしまいます。

 

また、裁判手続の弁護士費用や、業者に支払う残置物の処分費用などで、ひどい場合は数十万円から、100万円単位のお金がかかってしまうこと場合もあります。

 

ですから、このような時間とお金がかかる面倒な手続をせずに、自力救済したいと考えてもおかしくはありません。

 

弁護士としては非常に辛いところですが、やはり自力救済は刑法上の犯罪行為や民事上の不法行為に該当することになってしまいます。

 

そうならないためには、やはり大変ですが、そのようなケースでは上記の王道(裁判→強制執行手続)を取らざるを得ないということになります。

 

 

 

【編集後記】

今日は午前中は仕事で志木へ。

 

午後は事務所に戻ってデスクワーク。

 

夕方から息子のお稽古事であるバレエ教室に行く予定です。

 

 

 

  
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