クライアントからクレームを言われるのは嫌なものです。
しかし,冷静に考えると,クライアントからのクレームは,自分の成長につながる大きなヒントが隠されていることが多いものです。
<目次>
1.クレームを言われると落ち込む⁉︎
2.クレームこそ成長のチャンス
3.クレームを自分の成長につなげるための方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.クレームを言われると落ち込む⁉︎
私も16年以上弁護士をしていますので,今までの職業人生の中で,それなりにクライアントからクレームを言われた経験もそこそこあります。
どんな仕事もそうでしょうが,クライアントからクレームを言われるのはとても嫌なものです。
自分としては一生懸命に仕事をしているつもりなのですが,ついつまらないミスをしてしまったり,連絡が遅れてしまったり,自分の説明が足りなくて誤解を招いてしまうなどということもあります。
また,基本的に弁護士に事件の解決を依頼するクライアントは,自身に問題やストレスを抱えており,事件が厳しい局面になっている場合などは,必然的に弁護士に対する風当たりも強くなりがちです。
一番信頼関係を作らなければならないクライアントからクレームをいただくことは,何か自分の仕事が否定されたように感じ,とても精神的に落ち込みます。
自己嫌悪に陥ってしまいますし,また,クライアントがわがままなのではないかなど,責任転嫁もしたくなってしまいます。
いずれにしても,マイナスの感情に支配されがちになります。
2.クレームこそ成長のチャンス
しかし,冷静に考えてみると,自分の弁護士人生を振り返っても,お褒めの言葉をいただいたり,とても感謝してくださるクライアントの存在は大変ありがたいものではあります。
ただ,不思議なもので,そうしたクライアントよりも,なぜか自分にクレームや厳しいことを言ってくださったクライアントの方が,断然自分の記憶に残っているのです。
それは,当時の嫌な気分が忘れられないという部分も確かにあるのですが,やはり,クレームから自分にとっての大きな気づきを得られたとの思いが強いからです。
確かに,クレームを言われた当初は正直腹が立つこともありますし,落ち込むこともあります。
しかし,少し時間が経って冷静に考えられるようになれば,自分の業務の中で至らなかった点がいろいろと見えてきたりします。
ですから,実は,クライアントからのクレームというのは,自分の仕事の問題点を発見し,業務を改善する絶好のチャンスでもあるのです。
特に,弁護士という職業は,他人から自分の仕事を厳しく監視されたりチェックされるということがあまりありません。
そうすると,どうしても仕事の仕方が独りよがりや独善的になりがちで,自分の仕事を振り返って反省する機会というものが少なくなります。
ですから,クレームを言ってくださるクライアントというのは,実は弁護士にとって極めて貴重なのです。
3.クレームを自分の成長につなげるための方法
私も,クライアントからクレームを言われることは決して好きではありませんし,言われれば落ち込むこともあります。
しかし,後から考えて,そのクレームが確かに正しいと思った時には,素直に反省するようにしています。
そして,大切なことは,2度と同じようなクレームをクライアントから言われないように,自分の業務を振り返り,改善点を探す努力をすることです。
クレームは自分を成長させる貴重な機会ですが,クレームを言われても何もしなければ,忘れてしまうかも知れませんし,同じ失敗をまた繰り返すことにもなりかねません。
そこで,私は,「失敗ノート」というものを作り,何か仕事上のミスをしてしまったり,クライアントからクレームを言われたときには,その「失敗ノート」に記録するようにしています。
さらに,記録するだけではいずれ忘れてしまいますので,私は毎週1回月曜日にこの「失敗ノート」を見返すようにしています。
この「失敗ノート」は,私が司法試験受験時代に,ケアレスミスを防ぐための「ケアレスミスノート」をつけて,それを適宜見返していたことにヒントを得て作っているものです。
失敗を繰り返さないために,自分が過去にどういう失敗をしたのか,どういうときにミスをしがちなのかをしっかりと記憶に刷り込む必要があります。
クライアントからのクレームをきちんと受け止め,自分の成長につなげるために,この「失敗ノート」はとても有効だと思います。
【編集後記】
昨日は、ここ最近では珍しく早く帰宅し、息子のお稽古事であるバレエ教室に付き添って行きました。
久しぶりに息子のバレエを見学しましたが、1年前に習い始めた頃と比べてすごい成長ぶりに驚きました。
当初は練習中も石のように動かず、見ていてハラハラしましたが、昨日の息子はアクティブに飛び跳ねていてビックリです。
それに、心なしか以前よりも楽しそうに生き生きとやっているように感じました。
来年1月にはバレエの発表会があるのですが、今から楽しみです。