ワーキングマザー離婚相談室(ワーママ・働くお母様・働くお母さん)
                 渋谷駅徒歩5分  
03-3463-4351

御社の社員が社長の悩みをわかってくれない5つの理由 ~経営者と労働者の意識の壁をどう乗り越えるか?

働くお母さまの為の離婚相談

私は若い頃、よく労働者側で労働事件を担当しました。

 

労使紛争に発展している会社では、労働者は、会社の経営者が自分たちの気持ちをわかってくれないという不満を持っています。

 

他方、最近では、会社の経営者の立場の方からご相談をいただく機会も増えています。

 

経営者もまた、自分の会社の従業員は、経営者である自分の苦労をまったく理解していないという不満を募らせています。

 

こうした問題は、経営者という立場と、労働者という立場の違いがもたらす意識の違いから生じることが多いと思われます。

<目次>

1 わかりあえない経営者と労働者

2 社長の悩みをわかってくれない5つの理由

3 経営の見える化とコミュニケーションが解決の鍵

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.わかりあえない経営者と労働者

私は弁護士として、特に若い頃は労働者側の事件をそれなりに経験しました。

 

中には、何年にもわたって解雇を争うような大きな事件を手がけたこともあります。

 

こうした事件では、労働者は社長などの経営者に対して、社長はまったく現場のことを理解していないとか、自分たちがこれだけ大変な仕事をしているのに、まったく条件面でそれにこたえてくれないなど、様々な不満を持っています。

 

他方、最近では、経営者の方からの相談も多くなってきています。

 

経営者の方は、自分は土日もなく働いて、会社の経営を支えるために必死になっているのに、社員はそれをまったくわかっていないとか、会社の経営状態も知らないで給料のアップを要求してくるとか、これまた様々な不満を持っています。

 

両者の方を見ていて思うのは、これはどちらが良い悪いという問題というよりは、根本的に経営者という立場と、労働者という立場の埋めがたい溝が生み出す意識の違いからきていることがほとんどではないかと思います。

 

端的に言えば、経営者には経営者にしかわからない苦労が、労働者には労働者にしかわからない苦労というものがあります。

 

経営者は、会社の経営に最終責任とリスクを負っています。

 

極端な話、会社の売上が上がらずにお金がなくなれば、自分の私的な財産も差し出さなければなりません。

 

その反面、会社の経営方針をある程度自由に決定し、大きな裁量を与えられて仕事をします。その分やりがいも感じやすいでしょう。

 

もちろん、誰からも勤務管理などされない自由な立場です。

 

他方で、労働者は、安定的に給料をもらえますし、会社の経営には責任もリスクも負っていません。

 

しかし、経営者ほど裁量の大きな仕事はできないのが普通ですし、基本的には経営者から業務命令を受けて仕事をしますので、仕事は選べません。

 

そして、日々経営者から労務管理もされる不自由な立場です。

 

そうした立場の違いをお互いに理解し合えるかどうか、これがポイントです。

 

2.社長の悩みをわかってくれない5つの理由

(1)「お金」に対する意識の違い

まず一番多いのは、「お金」にまつわる悩みやトラブルです。

 

労働者は、突然の失業を経験した人などを除けば、給料というものは毎月決まった日に必ず支払われるものだという強固な観念があります。

 

これは良い悪いの問題ではなく、長年給料をもらって働くという習慣を送っている労働者にとっては当たり前です。

 

必ず入ってくるお金ですので、当然それを前提にして人生設計を組みます。

 

自動車を買ったり住宅ローンを組んだり、子どもの教育のプランを立てたりします。

 

ですから、当たり前に入る給料が、万が一でも入らなくなるということについては、強烈な抵抗感があります。

 

他方で、経営者は、とにかく会社の売上を上げなければ支払うお金がなくなるということに日々直面しています。

 

売上が上がらなくても、家賃や人件費などは固定費で必ず出て行くお金です。

 

ですから、当たり前ですが、社長は会社の経営が厳しくなると、自分の給料よりも、家賃や従業員の給料を優先して払います。

 

自分の給料はいつも当たり前にもらえるとは思ってはいません。

 

経営者と労働者は、その立場の違いから、「お金」というものに対するとらえ方について非常に大きなギャップがあるのです。

 

(2)危機感をわかってくれない

上記の(1)のお金の問題と関連しますが、社長は会社の売上をはじめ、会社の経営方針や社会経済情勢の変化などを常に意識しています。

 

こうしたことは、仕事が終わった後も、休日である土曜日も日曜日も同じで、会社の経営が頭から離れることはほとんどありません。

 

経営者とはそういうものなのです。

 

他方、労働者の方は、会社の経営が多少厳しくなっても、基本的には終業時刻が来れば仕事はそこで終わりです。

 

休日も会社の売上を気にしている社員というのは、いないわけではないですが、少数派でしょう(もっとも、労働者が休日まで会社の経営のことなどを気にしているのが良いことだとも思いませんが)。

 

ですから、経営者からすれば、労働者が気楽に見え、社長の持っている危機感をわかってくれないという悩みを持つようです。

 

(3)社長のビジョンをわかってくれない

成長意欲の高い経営者の方は、常に将来のビジョンを持っています。

 

ですが、そのビジョンを従業員から必ずしも理解してもらえないという悩みをお持ちの経営者の方がいます。

 

これは、ビジョンの中身に問題があるケースがあります。

 

単に、●年後に売上●億円達成とか、数字目標だけを掲げられても、労働者の立場からすれば、なぜそこに向けて自分たちも努力しなければならないのか、よくわからないでしょう。

 

むしろビジョンは具体的にして、こういう商品を開発してこういうお客様のニーズに貢献し(社会に貢献し)、その結果として売上●億円を目指すとか、もっとわかりやすく具体的なビジョンを掲げ、それを従業員の方にもわかってもらえるような、粘り強いコミュニケーションが必要だと思います。

 

(4)社長にきちんと意見を言ってくれない

会議などで、どんどん意見を出してほしいと言っているのに、ちっとも発言してくれず、会議ではいつも社長である自分ばかりがしゃべっている、そんな経営者の悩みもあります。

 

しかし、意見を言って欲しいと言われても、労働者の立場からすれば、忌憚のない意見をいうことはリスクがあり、勇気がいることです。

 

労働者というのは、常に経営者のことをよく観察しているものです。

 

おかしなことを言って社長に嫌われたら面倒だとか、常にリスクのことが頭に浮かびます。

 

しかし、労働者が経営者に物言えない会社では、いずれ社長は裸の王様になってしまいます。

 

労働者からの率直な意見というものは、時に経営者にとって耳の痛いこともありますが、それだけに貴重なものなのです。

 

会議などで労働者から意見を言ってほしければ、やはり会議を仕切る社長が、意見を言いやすい雰囲気を作ることを心がけることが大切です。

 

(5)新しいことや変化を嫌う?

これも割と経営者の方からよく聞くお悩みですが、何か新しい商品の開発や経営のプランを発表すると、労働者から反対されるというケースです。

 

成長意欲の高い経営者は、現状維持を嫌います。

 

現状維持のままでは、経営が危うくなることを知っているからです。

 

ですから、意識の高い経営者は常にさまざまなチャレンジをしようとします。

 

ところが、これが場合によっては労働者からすれば大いに迷惑ということがあり得るのです。

 

労働者からすれば、あまり新しいことばかりやられては、仕事がやりにくいということがあります。

 

そもそも、新しいことを始めるということは、ストレスがあります。

 

しかも、それが自分で決めたことではなく、人から命じられたことであればなおさらでしょう。

 

ですから、どちらかといえば労働者は、一般的には新しいことをやるよりも、現状維持を好む傾向にあるといえます。

 

3.経営の見える化とコミュニケーションが解決の鍵

では、こうした経営者と労働者の立場の違いから来る意識の壁を乗り越えるためには、どうしたらよいでしょうか?

 

私は、自身が会社と労働者のいわゆる労使紛争を手がけてきた経験から、こうした問題が起こる背景には、経営者と労働者のコミュニケーションの決定的な不足があると思います。

 

上記で見たように、経営者と労働者は明らかに立場が違い、そのために意識も大きく違います。

でもこれは、どちらが正しくてどちらが間違っているとか、そういうことではないのです。

 

そこで、お互いにそうした違いがあるということをよく理解した上で、相互にわかりあうためのコミュニケーションが欠かせないと思います。

 

そして、経営者の側からコミュニケーションの機会を作る努力が求められるでしょう。

 

さらに、可能な限り会社の財務状況などを労働者にも明らかにすることです(まあ、会社ですのですべてをオープンにはできないかも知れませんが、できる限りという意味です)。

 

労働者が持つ不満の多くに、中小企業の会社の財務状況が不透明だという問題があります。

 

社長は経営が厳しいといって給料を上げてくれないけれども、本当は儲かっていて社長だけおいしい思いをしているのではないか、そんな疑念を労働者が持ってしまうケースも少なくありません。

 

逆に、会社の経営が本当に厳しいときに、具体的な財務状況をきちんと明らかにしていれば、労働者の方も無茶な賃上げ要求などはしてこないはずです(もちろん、世の中には例外はありますが)。

 

このように、会社内の風通しをよくしておき、常日頃から経営者と労働者の信頼関係をきちんと作っておけば、万が一会社が危機的な状況になっても、決定的な労使紛争は避けることができ、逆に経営者と労働者が危機を乗り越えるために良い意味での団結ができるのではないかと思います。

 

 

【編集後記】

緊急事態宣言は解除されましたが、引き続き自転車(電動アシスト)にて事務所に出勤しています。

 

昨日は、初めて渋谷の事務所から霞ヶ関の弁護士会館まで自転車で行ってみました。

 

電動アシストなので非常に楽で快適ではありますが、時間は電車を使った場合よりも若干かかります。

 

今後どちらを使うか、ちょっと悩ましいところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  
PREVIOUS / NEXT